2016年6月28日火曜日

渋谷アップリンクで映画「LISTEN(リッスン)」

渋谷は最近足が遠のいていた場所、人が多くて歩くのがこわいから。
単館上映のマニアックな映画館がたくさんあって、ユーロスペース、イメージフォーラム、閉館してしまったシネマライズやライズXは本当によく行ったなあ。
そんな中でもお気に入りだったアップリンク映画「LISTEN(リッスン)」を見てきました。

聴覚障害のある方々が、手話と身体表現で「音楽」を奏でる「全く無音」のアート・ドキュメンタリー。
彼らは「視る」ことで音楽を、人の感情や気の流れ感じるのだという。波や風の音、風でざわめく葉っぱの音も見ることで聞くことができるという。
内側から自然に沸き起こる感情を表現することが音楽であり、手話そして身体全体と空間を使って彼らの音楽を表現していく、そのシーンが淡々と流れていきます。

出演者のひとりが、聾学校での音楽の授業は発声練習や口話の練習ばかりで、無理に声を出させることが苦痛であり、純粋に音楽を楽しめなかったと話していたのが印象的でした。
音楽=魂から溢れ出るもの=言葉になる以前のもっと抽象的で繊細なもの。

彼らの音楽から感じたことは、「聞こえない」=機能が失われている、というセンスを全く感じさせないこと。むしろ、聞こえないという能力を授かったからこそ、見える世界があり、彼らにしかできない表現方法がある。人間はハンデがあっても、それを補うかのように他の感覚器官が発達してゆくことを、彼らの高い身体表現から感じました。

アップリンクは渋谷駅から徒歩10分位で離れた場所にあるので静かな場所。
1階にあるカフェ「タベラ」も雰囲気が良くて、多国籍なお料理や上映中の映画にちなんだメニューもあってとってもおすすめです。